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2012年10月 3日 (水)

【データ指向の…(デート本)】多分もの凄く中身のある本…多分、多分

『データ指向のソフトウェア品質マネジメント―メトリクス分析による「事実にもとづく管理」の実践』

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前回、本書の全体の感想を書き、今回は少しだけ中身に触れようと思っていたが、思うところがあり前回と同じことを別な表現で書くことにした。

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今まで見たことのない本である。
本書の評価はこれに尽きる。
ありがちなメトリクス万歳な本と思って読み進めると裏切られる。
しかも、これが良い意味で裏切られているのか悪い意味で裏切られているのかが直ぐ分からない。
どうも本書は、ソフトウェアメトリクス管理そのものを説明する本ではなくて、ソフトウェアメトリクス管理を行う際に必要となる技法説明に軸足を置いた本のようだ。
うまく説明できないが、前者は「こういう時にはこういうメトリクスがあって、ほらこんなことが分かるんだよ」というもの。
これは裏読みする私の大好物である。
しかし後者は「定量的管理にはまずそれを行うための技法(主に数学知識)が必要だよね。だから事実にもとづく事例データ見せてあげるから、それ使って技法学びましょう。その後、学んだ技法使って何が出来るかは自分で考えなさい」というものであり、そこに挙げられる個々の技法自体も「著者の場合こう考えたけれど各自考えてみて」みたいなスタンスで置かれている。
これは裏読みするには困る。
とはいえ、ソフトウェアの定量的管理の難しいところから逃げまくっているわけでもなく、著者の(SLOCベースで話を進める等比較的オーソドックスな)考え方が、事例の中からしっかり伝わってくる構成になっている。オーソドックスなので個人的には物足りない点もあるが。
しかし、事例の選び方はかなり巧妙で、事例をいくつか挙げながら、多くの技法を無駄なく良い具合に説明して行く。これは見事といえる。

結構内容も深入りしているが、装丁からは想像できない熱の入った文体が所々顔を出して、何か簡単なことのように読み進められてしまう。しかしこれは前提知識がないと雰囲気だけで著者の主張を読み取れないまま終わってしまう恐れのある構成でもある。
以上、色々書いたが、1つ非常に素晴らしい長所がある。
否定的に取れるように書いておいてなんだが、最後に挙げた何か簡単なことのように読み進められてしまうという点だ。メトリクス管理で悩むのは概要は分かるが現実にどう進めれば良いか分からないからと言う人や組織が多いと思う。そこを狙った啓蒙本も出されていたりするが、なかなか満足の域に達してない。本書はこの部分を筆者の進め方を追体験することでクリアできるのではないかと思う。
但し題名がこれを明確に打ち出していないため、書店で潜在読者に訴えられないのは残念。
せめてサブタイトルに「データと一緒にデートしよう」とでもあれば、意図を察して手を延ばす潜在読者もいたような気がする。
結局、デート本と呼ばれているわけでもあるし。
まあ、勘違いする者も…いないか、さすがに。

ということで、書名と内容がズレていると個人的には思える。
最後に…
こういう本を世に出せた著者にやはり嫉妬する。
これはもの凄い本である可能性がある…が、実は私には良く分からない。
良く分からないというのは本書が私より遥かに出来る人により私より出来る人向けに書かれているからだと思う。


私も前提知識が足りないところを文の勢いで読ませてもらっているのだろう。
こうなると、本書のターゲットとなる読者層がよく分からない。
私も少しはソフトウェアメトリクスかじっているつもりでいたし。
本書は、これからメトリクスを使った管理を始めようかという者にも呆気なく読めるが、しかし読後、自分たちのデータを前に何をすれば良いかはやっぱり分からないままになってしまう可能性はある。それでも読む前と比べれば大きく前進しているはずだが実感がつかめないかもしれない。このため、本書は、事例はあるがそれでも類書の1つという感じになり埋もれるリスクは高い。
原因の一つは、悪くいうと長所でもある「語り」で多くのことを言おうと文章に内容を詰め込みすぎていることにあると思う。良いことがうまく書かれていても、長い文では気づかないよという感じ…あくまで悪く言えばだけれど。表にしたり、列挙する形で書けば分かりやすいだろうなという部分は多くあるように思う。

ただやはり柔らかい文でさらりと読める分、広い範囲の読者がそれぞれの興味の範囲内で大満足でなくとも満足できるようになっている可能性は捨てられない。
今まで見たことのない本であると最初に書いたが、単に自分が全てを理解したと確信を持てなかっただけであった。
ここまで書いておいて何だが、本書は先入観なしで読むのが一番良いと思う。

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